こんにちは。上杉惠理子です。
これを書いているのは、2022年4月19日の朝。
吉野家が炎上しています。
吉野家の常務取締役企画本部長が、4月16日に早稲田大学で行われた社会人向けマーケティング講座に講師として登壇。女性のリピーター顧客を増やす方法を「生娘をシャブ漬け戦略」と発言。
地方から都市部に出てきた若い女性が、男性から高い食事を奢ってもらうようなる前に牛丼中毒にし、そこでリピート客になってもらうという趣旨だったと報じられています。
この件、皆さんはどう思われましたか?
女性蔑視、地方軽視の点は各所で論じられているので、ここでは割愛します。
私が感じたことは
マーケティングはノウハウ、どんな心理や在り方で使うか次第
ということ。
吉野家常務が言いたかったことは、おそらく「刷り込み」のことかと思います。
卵から孵った雛が最初に見たものを親と思いずっとついていくように、人は最初に出会い好きになったものへの愛着が大きくなります。
これをマーケティングでも使います。
子どものときにマクドナルドのハンバーガーが大好きになると、将来にわたってマックファンになるとか。
居酒屋 串カツ田中さんも、ファミリー顧客を大事にするメニュー展開や立地戦略もしています。これは目先の売上だけでなく、子どもさんに串カツ田中を大好きになってもらって、大きくなったときにも選んでくれるようにという意図があります。
人の心に一度慣れ親しんだものを、ひっくり返すことは容易ではありません。
北海道の帯広では(いきなりマニアックですみません!笑)インデアンという、帯広の人たちの心を掴んでいる地元のカレーチェーンがあります。
帯広の方は自宅でカレーはつくらず、鍋を持ってインデアンに行き、お鍋で買って家で食べることも多いのだとか。この帯広に、全国チェーンのCoCo壱さんが出店し、早々に撤退したエピソードがあるそうです。
「早いうちに顧客の心を掴み、生涯に渡って自社の顧客になってもらう」
これは大事なマーケティングノウハウです。
ですが、あくまでノウハウです。
問題は、このノウハウをどういう想いや在り方で使うかです。
顧客を、どう見ているのか。
お金と思っているのか、支えたい人と思っているのか。
顧客の幸せを心から願って、商品を届けようとしているのか。
顧客の幸せのために、そもそもの商品を作っているのか。
無意識にある本音は、隠しきれない。
こういうところでポロッと出る。
ポロッと出るし、普段から実はじわじわ出ている。
自社の看板商品を、薬物に例える時点で相当にヤバいと私は思う。。
マーケティングを学び実践する人にはぜひ今回の件を、対岸の火事と思わずに、自分の在り方や無意識を問うキッカケにすることをおすすめします。
私自身も、自分はどうなのか?と見直します。
吉野家でとても頑張られている店長さんやスタッフさんを知っているので、応援に食べに行きたいと思うけれど。
シャブのイメージがついてしまった牛丼を、美味しく食べられるか私には自信がない…。
学ぶことの多い件です。
それではまた。
想いから始めるマーケティング戦略コンサルタント
上杉惠理子