こんにちは。上杉惠理子です。
この文章を書いているのは、2022年4月28日。最近、とても辛いと感じているのが、知床観光船遭難事故のニュースです。
亡くなられた方、ご遺族への方のお気持ちを思うと、言葉が出ません。
現在も行方不明の方々のご無事を願うとともに、捜索にあたられている皆様のご安全も心からお祈り申し上げます。
運営会社の社長が会見を行い誤判断を認めましたが、取り返しのつかない事故です。
人災であったかについてはこれからの調査を待ち、二度とこのような事故が起きないことを願います。
安全が第一、ということは
私は会社員時代に観光業界の星野リゾートにいて、北海道のトマムのマーケティング担当でした。
トマムでも自然を生かしたアクティビティがいくつもあり、安全第一を常に配慮しています。
例えば、夏の一番の魅力、雲海テラス。
夏の早朝、ゴンドラに乗って山の上へ。美しい朝焼けと、そして運が良ければまさにじゅうたんのような雲海を見ることができます。
2019年夏に、新卒でお世話になった会社の現社長さんとトマムに1泊できる機会がありました。
その社長さんは私の姉貴な存在で、ほんっとお忙しい合間を縫ってなんとかトマムに来てくれたんですね。翌朝の雲海テラスにご案内できることをとても楽しみにしていたの。
気合入れて早寝して3:30amに起床。
雲海発生状況を確認しようとお部屋のテレビの館内チャンネルをつけると…
強風のためゴンドラ運休
「Sさーん!!運休ですー!」
「えぇ〜〜!」
ふたりでしばし大騒ぎして……ふて寝。
ゆっくり起きたら、早朝に強風だったとは思えない青空で「なんで運休だったんだーー」と悶絶。
雲海を見れなくても、ゴンドラに乗ってテラスまでは行きたかったね、でも仕方ない、またくるか〜と笑いあいました。
仕方ないのです。
自然相手のアクティビティだから。
安全が第一。
わかっているけれど、残念すぎる、、、、、!!!
安全第一で運営するために、マーケ担当ができること
雲海テラスのゴンドラが運休になる、ということは毎年必ず数日起こります。
遠くから雲海テラスを楽しみに泊まりに来てくれるお客様も多い。残念な気持ちを直接受け止めるのは、ゴンドラの担当者ではなく、ホテルのフロントスタッフです。
ですが、ゴンドラ運営の現場が運休と決めたら、ホテルサービス側は絶対に「なんで今日の天気で運休なんだ!?お客様が残念がるじゃないか」…なんてことは、絶対に言わない。
安全第一で、運休になることは必ずある。
考えるべきことは
どうしたら運休になったときに、お客様のガッカリ度を減らせるか
どうしたら雲海テラスに行けなくても、トマムに来てよかったと思ってもらえるか
トマムではこちらを徹底して考えていました。
私、星野リゾートのおもてなしがすごいのは、サプライズとかよりも、ここではないかと思う。
お部屋のテレビで運行情報がわかることも、とても大切なこと。がんばって早起きして、着替えてロビーに行ってから「運休」と知るのとではガッカリ度が大違いなのです。
マーケティング担当ができることもたくさんあります。
雲海テラスは一番の「売り」なのだけど、雲海テラスだけでないトマムの楽しみ方を提案する。
自然現象だから雲海が見られないこともある、ゴンドラが運休することもある…と、きちんと説明を入れる。
自社HPはもちろん、旅行会社さんのパンフレットでも、限られた字数のなかできっちり説明を入れてもらう。
安全第一で高品質な商品・サービスを提供するためには、その前の販売段階でマーケ担当がどう売っているかも大きく影響するのです。
本当にこのニュースは辛い。
知床…素晴らしいところなのです。
知床の先端に手付かずの自然があり、人は船からでしか見られない。素晴らしい観光資源なのです。
私もまた知床に行ってみようと思います。遊覧船に乗って、しっかりがんばっている運営会社さんを応援したい。
そんなことを思っています。
想いから始めるマーケティング戦略コンサルタント
上杉惠理子