こんにちは。
上杉惠理子です。
マーケティングをはじめよう、マーケティングを見直そう、と思ったとき、まず最初にすることは何?
ということで、こちらの記事で3C分析をご紹介しました。
今回は、この3C分析を使って
新しい商品・サービスを考える
というときの、とてもとも大切なポイントをお伝えします!
ドラッカー時代は、顧客ニーズからスタートだった
1970年代、マーケティングという言葉が出てきた時代、経営の父P.F.ドラッカーはこう書きました。
企業が自ら生み出していると考えるものが、重要なのではない。顧客が買っていると考えるもの、価値を考えるものが重要である。それらのものが、事業が何であり、何を生み出すかを規定し、事業が成功するか否かを決定する。
「現代の経営」 P.F.ドラッカー
「売り手」である企業がどう考えるかではなく、顧客が価値を感じるものが大事なんだというお話ですね。
また、このような言葉もあります。
顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人である。したがって顧客に聴き、顧客を見、顧客の行動を理解して初めて、顧客とは誰であり、何を行い、いかに買い、何を期待し、何に価値を見いだしているかを知ることができる。
出典:「創造する経営者」 P.F.ドラッカー
マーケティングの基本中の基本のフレームワーク 3C分析でいうと、
顧客が求めるものから考える
ということです。
まず顧客が何を求めているかを考え、それから自社が提供できて他社がやっていないバリュープロポジション=売れる商品をつくろう!というメッセージです。
第二次世界大戦後しばらくは、日本でも世界でも、商品を作れば作るだけ売れた時代がありました。そしてしばらくは、企業が売りたいものを作って、営業で積極的に売ればなんとかなったのでしょう。
ですが、1970年代にそれまでのやり方では経営が行き詰まり、出てきたのが顧客ファーストのマーケティングです。当時はとてもセンセーショナルだったのではと思います。
顧客に聞いてもわからない時代に突入…!!
そこから時は流れ… 数十年。
今はどうかというと、顧客自身が自分が本当に何を求めているのか、よくわからない時代になりました。
というよりも、顧客が自覚している願いや価値に対しては、もうすでに商品・サービスが存在している状況なのです
これを、マーケティングの専門用語で 「コモディティ化」と言います。
…顧客/消費者としては、だいぶ甘やかされている時代なんですよねぇ苦笑
また、顧客の価値観が多様化し、「多くの顧客が求めるもの」を追求しても答えが見えない、ということもあります。
<顧客のニーズ>から考えはじめても、顧客に新鮮な驚きを与えてヒットする新商品・新サービスは生まれない時代なのです。
現代の3C分析は【自社】から発想する!
そこで新しい商品・サービスを生み出すときは、敢えて、
顧客ではなく自社から発想すること
が21世紀、令和の時代のマーケティングの要になります。
同じ3C分析でもドラッカーの時代とは、考える順番が変わります。
- 自社のこだわりから企画する
- 顧客ニーズに合うか確認し、顧客ニーズに合わせた魅せ方をする
- 他社がやっていないか確認する
顧客ニーズや競合他社の状況をチェックすることも大切ですが、あくまでスタートは自社から考えることがポイントです。
私がマーケティングを最初に学んだ星野リゾートでのヒット企画はみんなコレ。
例えば、奥入瀬渓流ホテル(青森県)の夏アクティビティは「苔さんぽ」。これはアクティビティスタッフのひとりが、奥入瀬の森の苔にハマってしまって、「こんな美しく神秘的な世界があるんだよ!」「お客様にも見て欲しい!」という熱い想いからプログラム化したものです。
そこから顧客ニーズに合わせた魅せ方を工夫して、今はもうすっかり奥入瀬渓流ホテルの夏のメインプログラムに育っています。
こうして顧客のニーズを全く聞かずに笑、自社スタッフの熱い想いで始まった商品・サービスは、まず他社に存在しません。また、他社がマネをしてきたとしても、想いの強さがあれば、他社がマネできないところまで進化させ続けることができます。つまり競合他社の中で埋もれず、バリュー プロポジション(売れる理由)を持つ魅力ある商品を作ることができるのです。
新しい商品はゼロから考えていけばいいですよね。
では、今ある既存商品は?
次の記事では既存商品をバリュー プロポジション(売れる理由)にしたいときの考え方をお伝えしますね!
上杉恵理子